Prayer for peace

高草木 裕子

Hiroko Takakusaki, 2001, Oil on canvas
「つながり」


 世界の79ヶ国に埋設されている、1億1千万個を越す地雷。なんと20分に1人の割合で命を失ったり手足を吹き飛ばされたりしているということです。このままいけば除去に数百年を要すとも言われているそうです。地雷除去に日本の民間の最新技術が役立っていると聞き嬉しく思います。今世紀には20世紀に人類の科学が生み出してしまったさまざまな兵器を科学の力で葬り去る方向へ進んでいくことを希望していました。
 しかし、世界は破滅の方向へ向かっているかのようです。不均衡からテロが勃発しアメリカを中心とする世界はテロ撲滅を掲げた報復戦争へ突入してしまいました。報復は報復の連鎖を引き起こすだけだという心ある人々の訴えは合衆国大統領へ届きませんでした。

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 「どうしたら戦争のない社会を築くことができるのだろう。」
 「私達にできることはなんだろう?」
 私達はこの展覧会をメッセージ性のある展覧会にしようと話し合いました。私達のメッセージについて考えるにあたり、私はインターネットでいろいろな人の平和へのメッセージを読みました。そしてジョン・レノンにいきあたった時70年代のImagine(イマジン)、"Love & Peace"の効力について考えました。そして絶望的な気持ちになりました。
 また、アルバート・アインシュタインが1922年に日本を訪れた際に残した日本へ世界の平和を託すメッセージを読んだ時、そんな不思議な力がもしかしたら日本にあるのかもしれないと思えました。そして「大切なむすびめ」という家族のつながりを書いたある中学生の作文を読み、大切な事はほんの身近なところにあると思いました。

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「作品について」
 私は今回出品する作品はこの"身近にある大切なもの"を描かなければいけないなと感じました。先日11月5日にこんのひとみさんのライブを聴いたのですが、家族の絆をテーマに作詞、作曲なさった歌に涙が止まりませんでした。今回出品している「つながり」という作品は"家族"をイメージしています。四人で一点ずつ出品するプレッシャーを感じながら、こんのさんのことも考えながら描きました。
「Power of living in TOKYO」は葉書にしましたのでご覧頂きたいのですが「Power of living in KABUL」と対になっています。「~KABUL」の方は戦禍にさらされているアフガニスタンを思い、地雷で足をなくした人をイメージしています。「~TOKYO」はそれに対するものとして描いたのですが概してのんきな'平和ぼけ'ともいわれる日本人を表しています。支えあって生きていこうという思いもあります。「YAMATO-BITO」は自己中心的な殺伐とした世界を生きる都会の人々の背後にも森の緑や水に恵まれた日本の風土が歴然として存在し、守られていると思うということを表しました。幾分こじつけもありますが、言葉にすると以上のようなことになります。

2001.12

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Performance & Exhibition 2001 in Tokyo “Prayer for peace” 2001/12/14~20
キッド・アイラック・アート・ホール(東京・明大前)

 

「Power of living in TOKYO」「つながり」「YAMATO-BITO」 Hiroko Takakusaki, 2001, Oil on canvas

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