" What do you love? "
(NC Art Gallery での個展に寄せて)
高草木 裕子




Hiroko Takakusaki, 2004
戦場で例えばジャングルのような視界の悪い場所で敵兵とふいに1対1ででくわしてしまったら
どうするだろうか?
道幅がそれほどないようなところで敵兵が突如として視界に現れたとすれば…。
こちらはすでにぎりぎりの気力を振り絞って歩を進めているとすれば…。
そんな状況で敵兵がこちらへ向かって歩いてきたとすれば…。
咄嗟に銃を取り引き金を引く、というのは
西部劇かチャンバラの世界。
こんな時まるで相手には気づかなかったかのような素振りを互いにしてすれ違ったりするらしい。
すでに両者とも戦いに疲れ果てているのだ…。
ジャングルをさまよい、十分な食べ物も口にしていない…。
一戦交えることを避けるために、互いの目と目を合わせないようにしてそっとやりすごすらしい。
衝突を避ける方法、というものが
どんな場合にもきっとあるのではないだろうか。
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ところで、相手の好きなもの、愛するもの、大切にしているものを知っていれば
その人を傷つけたり、ましてや殺害したりなどできっこないのではと思う。
ある人を知るにはその人が何に腹を立てるかを知る事じゃないだろうか。
そして反対に、何を愛しているのかを知る事じゃないだろうか…。
「あなたの愛するものはなんですか?」
皆が一人一人愛するものを持っていることを知ることが
暮らしやすい社会を作ることにつながらないだろうか。
しいては戦争のない世の中にならないだろうか…。
2004.8